「なんでこの子、ありがとうって言えないのかしら」
スーパーで小さな子を連れたお母さんが、
ちょっと困ったように、でも恥ずかしそうにつぶやくのを聞いたことがあります。
その気持ち、よくわかります。
親としては、子どもにはきちんと「ありがとう」「ごめんなさい」が言える子に育ってほしい。
けれど現実は、何度教えても、なかなかすぐにはできなかったりします。
そんなとき、ミラーニューロンという脳の仕組みを知ると、ちょっと見方が変わります。
ミラーニューロン――それは、目の前の相手の行動や感情を“脳の中で写し取る”神経細胞のこと。
誰かが笑えば、こちらの脳も“笑いの準備”を始め、
誰かが怒れば、脳も“緊張”のスイッチが入る。
つまり、子どもは言葉ではなく、大人の「ふるまいそのもの」を脳でマネしているのです。
親が「ありがとう」と口だけで教えても、
日々の中で、子どもが「親がありがとうと言っている姿」を見ていなければ、
その言葉は、脳に届きにくいのかもしれません。
逆に、たとえば――
- 食卓でお茶を取ってもらったときに「ありがとう」
- レジの店員さんに「ごちそうさま」「ありがとうございました」
- 子どもが小さなことをしてくれたときに「うれしい、ありがとう」
そうした自然なやりとりを“見る”“聞く”体験こそが、子どもの脳に「感謝の型」を刻んでいくのです。
そしてそれは、「感謝」に限ったことではありません。
言い方、笑い方、謝り方、怒り方――
子どもは日々、大人という“鏡”を見て、自分をつくっています。
「この子の言い方、誰に似たんだろう…」
そう思ったら、ふと立ち止まって、自分のふるまいを見つめてみるのも、いいかもしれません。
親の背中は、子どもの最高の“教材”。
だからこそ、完璧じゃなくていいけど、誠実にあろうとする姿勢を、
子どもはちゃんと受け取ってくれているのです。
今日もまた、「ありがとう」を、自分の口から。
それが、子どもの未来の“やさしい言葉”になると信じて。
子どもは親のふるまいをミラーニューロンで写し取り、「ありがとう」や「ごめんなさい」を学びます。この脳の力は、ビジネスでも同じように活かせます。
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