#9910のLINE利用から発展する世界

2024年3月29日正午から、道路通報#9910 のスマホ版が全国でスタートしました。

これは一見、ふーん、LINEね、デジタル化だね、くらいに思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、けっこう画期的なことなのです。

その前に、そもそも道路緊急ダイヤル(#9910)とは何だ?ということで、簡単に説明します。 

道路緊急ダイヤル(#9910)は、道路の穴ぼこ、路肩(ろかた)の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなど道路の異状を24時間受付けるという、国の道路管理サービスです。

車を運転される方は、ご存じの方も多いと思います。

すべての道路には、道路管理者というのがいて、それは、国、全国の各自治体ということになるわけですが、#9910は、すべての道路上の問題を国のサービスとして一括で受付し、国道以外は各自治体に知らせるという流れになっています。

たとえば、道路に物が落ちているといった道路が利用しにくい状況があったとき、#9910に電話をすれば、対処してくれるというものです。

24時間受付で無料です。

対象道路は、国道、都道府県道、市町村道、NEXCOと、全国のすべての道路になります。

 

スマホ化になって、何が変わるか!?

では、スマホ化になって、何が変わるか!?ということですが、 

たとえば、道路に穴が開いていたとしましょう。

タイヤがパンクしそうで嫌だ。

いつも通るのだが、はやく穴をなおしてもらいたい。と考えたとき、これまで#9910は、電話のみのコールセンターでしたので、基本的に電話をしていました。

電話で現地の状況を説明するというのも、なかなか難しいものがあります。

例えば、穴が開いている場合、どんな穴ですか?と聞かれても、穴の形状、深さ、質など、なかなか言葉にしにくかったりします。

だから、通報する人の思い浮かぶ単語を使って、だいたいの状態を話す感じになったりしますが、表現しにくいという理由で、通報をやめる方もいるのではないかと思います。

また、位置を伝えるもの簡単ではない場所が多々あります。

たとえば、国道何号線、イオンの前など、コールセンターの受け手の知識で概ねわかるものはいいですが、目の前に電柱しかないとか、家はたくさんあっても目立ったものがないとか、公共施設がまったくないとか、説明しにくいことも少なくありません。

コールセンターで受けた内容は、次に業者さんに伝わることになりますが、業者さんは、書き込まれた電話の内容を頼りに探すしかありません。

それでも、業者さんの知識で、だいたいめぼしをつけたあと、処理するための準備をして出向くということになります。

このように、電話では、なかなか正確な情報を把握しにくいため、手間がかかるという状態でした。

一方、今回、スタートしたスマホで投稿では、GPSによる正確な位置、そして、実際に写真を撮って送ることで

業者さんは、

・場所と状態がわかりますから

場合によっては、

・修繕の用意をして、確認と同時に修繕する

ということもできます。

何より、位置情報が正確に把握できるだけでも、大きな進歩です。

また、誤情報と思われるものもありますから、写真と位置のいずれかでも確認できれば、はやく解決することができます。

このように、正確な情報によって、問題解決が急激にスムーズになります。

LINEが使えるようになるといっても、コールセンターも併設ですから、写真と位置情報に合わせて、より詳細の話をすることもできるでしょう。

道路管理のデジタル化

また、国土交通省では、この数年で、道路管理のデジタル化を進めてきました。

現場のタブレットで地図上に位置と問題の表示、書き込みなどが行えて、事務所でその様子を確認することもできるようになりはじめましたから、良いタイミングでのスマホ投稿の開始となりました。

では、このようなデジタル投稿の動きは、はじめてかというと、数年前から同じような動きが、主に自治体で進められてきました。

たとえば、平塚市では道路に特化したもの。

川崎市では、道路を含めて、市内の公共物で問題を感じたものはスマホ投稿できるようになっています。

また、マイシティレポートという、自治体がプラットフォームに参加するものもあります。

これも道路に限らない「まちの困った」を、発見・共有するもので、各自治体の公共施設に関する投稿ができるようになっています。

このように、デジタル化に取り組んでいる自治体はありますが、全国の自治体の中では、一部の地域に限定されているというのが現状でしょう。

一方で、実は国も、デジタル化の実験を行ってきました。

北海道では、道の駅のデジタルスタンプラリーに、道路緊急ダイヤル#9910を組み合わせ2019年から、実験を行っています。道の駅スタンプラリーの愛好者は、ご存じかもしれません。

また、関東地方整備局では、今回の全国区と同じものを、2023年11月から1都8県でスタートさせています。

そういうわけで、今回、#9910のデジタル化を行うことは、全国の国道だけでなく、全国の自治体の道路管理が変わるということになります。

全国の道路管理で、スマホから位置情報と写真などが投稿されるようになったことで、

・投稿者にとっても、早期問題解決につながり
・事業者にとっても、より正確な情報ではやく対処できる
方向に向かおうとしています。

大切なのは、これから国民が認識し、参加していくことです。
日本人らしい思いやりのこころを持って、参加していくといいですね。

注意点があるとすれば、LINEのセキュリティ。

理想は国産のSNSですが、LINEは、個人情報の外国への流出が何度もあるため、道路の穴ぼこなど、安全保障上の問題になりにくい事項に限っていただきたいものです。

もう1つ。

このように、道路管理で進められることは、道路のデジタルツイン、つまり、パソコン上で様々な道路情報を書き込んで管理するためにも有効です。

たとえば、右の図のように、道路の穴ぼこがとてもあきやすい場所をAランク、まあまあ事故が起きやすい場所をBランクとすると、そのデータに基づいて、道路設計・管理体制の強化ができます。AIで様々な分析もできるでしょう。

また、災害時に道路が崩壊したとしても、元の情報をどこかでバックアップをとっておきさえすれば、安全な地域から、現地のサポートができるなど、災害後の復元力が高くなります。

いま日本列島は、地震活動期にありますから、いつおきてもおかしくないといわれる首都直下型地震、南海トラフ地震などを考えるとこれは今後大切になっていくところです。

■AI戦略2022との関係

参考までに、
AI戦略2022をみてみましょう。

過去に、AI戦略2019というのがありましたが、これは主にAI人材の育成とビジョンに関するものでした。

これに対して、AI戦略2022では、
戦略0に、
・国家強靭化
・地球強靭化

ゴールを、国民の生命・財産を守るとして、AIを戦略ツールとして使うということを謳っています。

要するに、国民の生命・財産を守る重要なテーマは国家強靭化、地球強靭化であって、そのための戦略ツールとして、AIと周辺の技術を位置づけたということになります。

#9910のデジタル化は、AI戦略2022ともつながるのです。 

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