超限戦という言葉をご存じでしょうか。
「超限戦」という本は、1999年に発表された、中国人民解放軍大佐の喬良と王湘穂による戦略研究の共著で、いまの戦争は、武器弾薬だけではなく、サイバー攻撃、金融、法律、外交などなど、あらゆる分野が戦いだということを書いたものです。
一方、この「超限戦」を超えよう、という「超超限戦」という本が2020年に出版されています。これは、自衛隊の出身者が書いたものですが、要するに、「どんな手を使っても、人々を支配する」という国や人々がいる、ということを認識した上で、人権、民主といったものを守り発展させる必要があるんだよ、という警告の書です。
どうして、人間はどこまでも人を支配したいのでしょう。
野生動物や生命の世界を見ると、食わねば生き残れないという世界ですから、そうした生命の一系統である私たちのDNAにも刻まれているのかもしれません。しかし、一方で、相手を思いやり発展させることもできているのが人間社会でもあります。
そういう意味では、動物の牙や筋肉にあたる軍事力が強かった江戸以前の日本だったからこそ、鎖国できていたと言われるもの一理あるでしょう。スイスも同じく、永世中立国であるためには、そうした努力を行っているともいえます。
「超超限戦」で言う、米中の牙は、以下の通りです。
AI、量子技術(量子コンピュータ・暗号・通信・レーダー)、バイオテクノロジー、次世代情報技術(半導体、次世代通信規格)、測位技術(ナビゲーション)、自立無人機システム、レーザー、極超音速技術などです。
そして、戦いの領域は、政治戦、金融戦、貿易戦、外交戦、資源戦、法律戦、制裁戦、文化戦、宗教戦、歴史戦、メディア戦、イデオロギー戦、核戦、化学戦、生物戦、情報戦、宇宙戦、サイバー戦、デジタル戦、ネットワーク戦、電磁波戦、ハイブリッド戦、制脳戦、アルゴリズム戦、非対象戦、技術戦、心理戦など幅広い領域になります。
そんな幅広い分野、誰もが理解するのは難しい。確かにそうでしょう。
しかし、現代は、こうした領域で起きているというのです。
政府、国会議員、地方自治体の首長と議員、そして各省庁、各地方自治体は、こうした状況を理解した行動を行う必要があるのは当然です。そして、企業もまた、国内、海外を相手にビジネスを行いますし、社員の流動性もありますから、こうした各国の戦略的な背景を踏まえた教育は必要でしょう。
「科学的な思考」とは、何事も疑ってかかる、一歩引いて考えることです。なんでも表層的な情報を信じていると、真実の解明などできませんから、そうした一歩引いた思考がビジネスや生活の上でも大切だということです。
ではどこで身に着けるか?ということですが、こうした思考は、若者であれば、AI、プログラミングが必須になっているいま、身に着けることができるでしょう。その上で、一見平和に見えることの裏に何かしくまれてないか、客観的な目を持つことが、備えになり憂いなしに繋がるのだと思います。
個人的には、こうしたことをすべて行うのは脳であり、現代を生き抜く基礎として、ビジネスナレッジとして、脳の基本を一度学んでおくことをお勧めします。
脳は成長のさせ方で違いますが、基本構造は人類皆同じです。優れた人間だからといって、脳の構造が違うわけではありませんから、人生をポジティブに考える意味でも、AI、コミュニケーションなどの基礎という意味でも脳を学ぶ意義があります。