「覚えよう」としたことより、「感じたこと」のほうが残っている

学生時代、テスト前に一生懸命覚えたことは、
驚くほどあっさり忘れているのに、
友達と笑いながら読んだページだけ、なぜか今でも覚えている。
そのページの隅にあったイラストとか、
友達が言ったしょうもない一言とか、まるごとセットで。

あれって、なんでなんだろう?

それは、脳の中にある「海馬(かいば)」の働きが関係している。
海馬は、“エピソード記憶”をつくる場所。
つまり、「何があって」「誰といて」「どんな気持ちだったか」——
そうした“体験としての記憶”を整理し、保存してくれるパートだ。

意外かもしれないけど、
脳は「覚えよう!」と力を入れたことよりも、
感情が動いた体験”を優先して記憶する性質がある。

楽しかったこと、恥ずかしかったこと、びっくりしたこと。
そこにちょっとした感情のスパイスが加わると、
海馬は「これは残しておこう」と、ちゃんと記録してくれる。

だから私は最近、「覚えるぞ!」と力むよりも、
「面白がる」「驚く」「感動する」ほうが近道なんじゃないかと思っている。

記憶って、無理やり詰め込むものじゃなくて、
体験を通して、自然と染み込んでいくものなのかもしれない。

覚えていないようで、ちゃんと残っている。
笑い声と一緒に、ページの記憶がよみがえるとき、
そんな海馬のやさしい仕事ぶりに、ちょっと感謝したくなる。

数字は忘れても情景は残る――それは海馬が“体験ごと”記憶するから。

HEARTSHEART Laboのプログラムでは、こうした脳のクセや仕組みを理解することからスタートし、AIを“脳の専門家”として活用するユニークな学び方を取り入れています。

脳は、人の感情・行動・思考を支える土台であり、同時に、あらゆる学問・ビジネス・芸術・文化を生み出す「知の源泉」です。

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