「できた！」が育てる、やる気のスイッチ

「やる気がないんです」
「何度言っても続かないんです」

そんな言葉を、親御さんから聞くことがあります。

でも本当に、「やる気がない」のでしょうか？
それとも――やる気の“育て方”を、まだ知らないだけかもしれません。

脳の中には、“やる気のスイッチ”があります。

それが「報酬系」、とくにドーパミンという物質のネットワークです。

この報酬系は、
「うれしい」「ほめられた」「できた」
そんな体験をしたときに活性化します。

そして、こう思うのです。
「もっとやってみよう！」って。

でもここで大事なのは、

「お菓子をあげる」「ゲーム時間をのばす」といった“モノのごほうび”ではなく、
「自分でできた！」「わかってもらえた！」という実感なのです。

たとえば、お片づけを最後までできたとき。

「えらいね！」とざっくりほめるよりも、
「最初から最後まで、一人で片づけたね」「時間かかったけど、あきらめなかったね」

――そんなふうに“過程を見てもらえた”ことが、子どもの心に火を灯します。

ドーパミンは、“やらされ感”では動きません。

“自分の中から湧いてくる”楽しさ、納得感、挑戦心に反応するのです。

だから私たち親ができることは、
「がんばったね」を伝えることよりも、
「どんなふうにがんばっていたか」を一緒に言葉にしてあげること。

それが、脳の報酬系を正しく育て、
「またやってみよう」「もっと工夫してみよう」という
内側からの“やる気エンジン”をつくっていきます。

小さな「できた！」を、
その子にしかないプロセスごと、ちゃんと見つけて、言葉にする。

それが、子どもの未来を照らす、
いちばん確かな「やる気スイッチ」になるのかもしれません。